北極圏に浮かぶスヴァールバル諸島には、約300頭ものホッキョクグマが生息していると言われています。
そのため、居住エリアの外へ出る際は、身を守るためのライフル携帯が“必須”。
観光客が自由に歩き回れる範囲は、実はかなり限られているんです。
スヴァールバルに来る旅行者の多くは、ガイド付きの現地ツアーで島の大自然を体験しています。
とはいえ、
- ツアーに頼らず、気ままに歩いてみたい
- 毎日ツアー参加はちょっと予算的にキツいかも…
- 空いた時間にも、もう少し観光したい!
そんなふうに感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、現地在住の筆者が普段の散歩やお出かけで立ち寄る “ライフルなしで気軽に行ける絶景スポット” をご紹介!
北極らしい景色を自分のペースで楽しみたい方にぴったりの、身近で安全なビューポイントをまとめました。
ツアーの合間にふらっと立ち寄れる場所ばかりなので、ぜひ旅の参考にしてみてくださいね。
※ご注意ください!
この記事でご紹介する場所は、あくまで現地在住者がライフル銃を携帯せずに訪れている範囲です。
安全の確保は各自の判断と責任でお願いします。ホッキョクグマ出没情報や天候などの最新情報を確認し、無理のない範囲でお楽しみくださいね。
ホッキョクグマの標識

スヴァールバル諸島らしい“映えスポット”といえば、やっぱりこれ。
ホッキョクグマのシルエットが描かれた警告標識は、観光客にも大人気の写真撮影ポイントです。
この標識は、町の外れ=安全ゾーンの境界に設置されていて、いわば「ここから先はクマ注意!」の目印でもあります。
なかでも一番人気なのが、町の中心から徒歩約20分の場所にあるAdventdalen(アドヴェント谷)方面の標識。
標識の向こうには北極の大地がどこまでも広がっていて、まるで映画のワンシーンのような雰囲気が味わえます。
道中にはハスキー犬の飼育場もあり、夏のあいだはその周辺で野鳥やヒナの姿を見られることも。
ちなみに、この道を反対方向に進むと、港エリアにももうひとつ標識があります。
こちらは観光案内所が定める“安全圏ギリギリ”の場所で、より町に近いフォトスポットになっています。
野鳥観察所(LoFFhuset)

街中から少し歩いた場所にある、海岸沿いの静かな“穴場スポット”。
それが、野鳥観察所「LoFFhuset(ロッフフーセ)」です。
短い夏のあいだには、さまざまな渡り鳥たちがこの周辺にやってきて、バードウォッチングにもぴったりな環境。
鳥たちだけでなく、背後にそびえる山々やフィヨルドの絶景も楽しめるのが、この場所の魅力です。
中でも、ロングイェールビーンの象徴的な山「Hiorthfjellet(ヒオルトフィェッレ)」を正面からばっちり眺められるのは、ここならでは!
ただし、観察所のある海岸沿いは、会社の倉庫やスノーモービルの駐車スペースなどが並ぶ、ちょっと無骨な雰囲気のエリア。
その一角にひっそりとあるので、知らなければ通り過ぎてしまいそうな“隠れスポット”です。
ベンチもいくつか設置されていて、お天気の良い日にはのんびり景色を眺めるのにもぴったり。
特に風のない夏の日は、フィヨルドの水面に山が逆さに映る“鏡のような景色”に出会えるかもしれません。
海辺のBBQスポット

最近ひっそりと登場した、ローカル感あふれる海辺のバーベキュースポット。
無料で使える野外BBQ設備や、ちょっとひと息つけるベンチも設置されています。
現地のスーパーでは使い捨てのBBQコンロも売られているので、旅行中でも気軽にBBQ体験が楽しめますよ。
この場所は少し分かりづらいのですが、Jason Roberts Productionsのクマの像とカラフルな小屋が目印。
そのクマの像を左手に、川沿いの道を進んでいくとBBQエリアにたどり着けます。
ちなみに夏は、山から流れ込む泥水の影響で海の色が少しくすんでしまうことも。
ですが、川が凍る冬や春には真っ白な雪と透き通った青いフィヨルドの絶景が広がります。
この周辺は、キョクアジサシという渡り鳥の繁殖地にもなっていて、夏の時期は要注意。

見た目はかわいいですがかなり気が強く、巣に近づくと頭を本気でつつきにきます…!
足元だけでなく、頭上にも気を配って散策してくださいね。
貯水タンクエリア

町の外れ、Sukkertoppen(スッケルトッペン)山のふもとにある貯水タンクエリアは、静かに絶景を楽しみたい方にぴったりの穴場スポット。
アクセスは、Radisson Blu Polar Hotelの前を通る「Vei232」という道を山の方へまっすぐ。
坂道を上って、住宅街を抜けた先に貯水タンクが見えてきます。
最後の住宅エリアを過ぎてからは街灯がないため、特に極夜の時期は真っ暗。
ちょっと心細くなりますが、一応ここも安全圏内です。
そしてこの暗さこそ、オーロラ観賞には絶好の条件!
街明かりが少ないぶん、空に舞うオーロラの姿もはっきりと見えやすくなります。
また、2月や10月の“ブルーアワー”には、空も山も雪もほんのり青く染まり、幻想的な景色に。
時間帯や季節によって表情が変わるスポットなので、何度でも訪れたくなる場所です。
Sukkertoppen(スッケルトッペン)中腹エリア

貯水タンクからさらに先へ道なりに進むと、目の前に広がるのはフィヨルドと町並みのパノラマ!
天気が良ければ、Isfjorden(イスフィヨルド)の向こう岸に連なる山々や氷河まで見渡せる絶景スポットです。
目安としては、写真にある黄色いマークが貯水タンクのある地点。
そこから赤いラインの端までは砂利道が続いていて、ライフルなしで安全に歩けます。
道はなだらかで歩きやすく、気軽なハイキング気分で自然を満喫できますよ。
雪崩防護擁壁ウォーク
町の中心部にある“雪崩防護擁壁”は、地元の人たちがよく散歩を楽しんでいるウォーキングコース。
ちょっと小高い場所にあるこの遊歩道からは、ロングイェールビーンの街並みを上から見渡せる絶景ポイントになっています。
「山を登るのはちょっと大変だけど、少しでも景色を楽しみたい」そんな方にもぴったりな、気軽にアクセスできる展望スポットです。
遊歩道の端には、三角屋根のカラフルな家々が並んでいて、写真映えもバッチリ!
ちょっとしたリフレッシュや、軽いお散歩にもおすすめです。
Funken Lodge(フンケン・ロッジ)の裏山

Funken Lodge(フンケン・ロッジ)のすぐ裏手には、中腹まで登れるちょっとした展望ルートがあります。
この山「Gruvefjellet(グルーヴェフィェッレ)」の中腹まではライフルなしでアクセス可能です。
途中からは、ロングイェールビーンの街とフィヨルドを一望できる絶景が広がっています。
おすすめは、Funken Lodgeの建物左側から裏へまわるルート。
傾斜がゆるやかで登りやすく、足元には地元の人が踏み固めた小道のような跡もあるので、初めてでもわかりやすいです。
ただし、雪が積もっている時期や雨のあとはすべりやすくなるので、歩きやすい靴で行くのが◎。
Huset(フーセ)の坂道

ちょっと坂を上るだけで、ロングイェールビーンの町並みが一望できる、静かなビュースポット。
Huset(フーセ)の前の道を、町とは反対方向へ進んでいくと、ゆるやかな上り坂が続きます。
途中には「ホッキョクグマ注意!」の標識があり、そこから先は一応安全ゾーンを少し外れるエリアになるため、暗い時間帯の散策は避けた方が安心です。
日中、ベンチが置かれているあたりまでなら、私も普段ライフルなしでふらっとお散歩しています。
さらに奥まで進むと、おしゃれなレストラン「Gruvelageret」やLongyear氷河、川を挟んでNybyenの集落なども。
町の喧騒を離れて、北極らしい静けさと風景を味わえる散策コースです。
高台の日時計

ロングイェールビーンで人気のウォーキングルートのひとつにある、小さな日時計スポット。
町やフィヨルドを見下ろせる高台で、のんびり歩きたいときにぴったりの景色が広がっています。
この周辺は、川を挟んだ反対側の「Vei300」沿いの道とあわせて、地元の人たちにも人気のランニング&散歩コース。
道中には教会や観光案内板もあり、ロングイェールビーンの歴史を感じながら歩くことができます。
そしてこのエリア、野生のトナカイとの遭遇率がかなり高め。
街中でも見かけることはありますが、特にこのルートではのんびり草を食べる姿に出会えることが多いです。
ケーブルカー炭鉱跡地

かつて炭鉱の町として栄えたロングイェールビーンの歴史が、今も感じられるのがこのケーブルカー跡地エリア。
建物内には入れませんが、当時の骨組みがそのまま残されていて、炭鉱時代の名残がしっかりと残っています。
そしてこの場所、実は絶景スポットでもあるんです!
晴れた日には、フィヨルドやロングイェールビーンの町並み、さらにはIsfjorden(イスフィヨルド)の向こうに連なる山々や氷河まで見渡せることも。
特におすすめの時期は、2月中旬〜4月中旬と8月下旬〜10月下旬。
夕日や夕焼けで空がほんのり色づいて、幻想的な風景に出会えます。
ケーブルカー跡地の前を通る「Vei305」は、海を正面に眺めながら歩ける人気のウォーキングコース。
この道はそのまま空港方面まで続いていて、気軽な散策にもぴったりです。
散策は橋を渡った手前くらいまでが安心です。
まとめ
今回は、ロングイェールビーン周辺で気軽に立ち寄れる“絶景スポット10選”をご紹介しました。
スヴァールバル諸島を訪れる旅行者は、ホッキョクグマ対策もあって現地ツアーに参加するのが一般的です。
とはいえ、安全ゾーン内の町の周りにも、ふらっと歩くだけで北極らしい風景に出会える場所があります。
無理のない範囲で安全に気をつけながら、“自分ペースの旅”も、ぜひ楽しんでみてくださいね!