北欧のオーロラ鑑賞都市として、有名な北ノルウェーのトロムソ。
近年、トロムソでは以前に増してオーロラ鑑賞の人気が高まっており、オーロラシーズンには多くの現地ツアーが開催されています。
しかし、ツアーに参加せずに自力でオーロラを見たい!という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、実際にトロムソ市内からどの程度オーロラを見ることができるのか検証してみた結果をシェアしたいと思います。
おすすめ鑑賞スポットも紹介します
トロムソでオーロラを見たい方のご参考になればうれしいです。
トロムソの街中でオーロラ鑑賞はできる?
オーロラが見られる条件の1つとして、「人工の光が少なく、暗いことが重要」だとよく言われます。
なので、オーロラって田舎や山奥に行かないとなかなか見られないと思っていませんか?
実はトロムソでは街中からでも肉眼でオーロラが見られるチャンスがあります!
しかし、太陽活動があまり活発ではなく、現れたオーロラが弱い場合は、街明かりに負けてしまって肉眼では見えにくいことも。
街中でもオーロラ鑑賞はできますが、やはりオーロラ鑑賞の妨げになる明かりは少ないに越したことはありません。
トロムソ市内のおすすめ鑑賞スポット3選
街中からオーロラ鑑賞をする際も、できるだけ明かりのない暗い場所を探すことでオーロラが見られる可能性は高まります。
街中のオーロラ鑑賞では、以下のような場所がおすすめ。
・街明かりや街灯の少ない場所
・公園など視界の開けた場所
・ビルやマンションの屋上、山頂など街明かりが視界より低くなる場所
トロムソでこれらの条件に当てはまるスポットを3つ紹介します。
街の中心部から徒歩または路線バスでアクセスできます!
Prestvannet
PrestvannetはTromsøyaの島中央部にある湖で、地元の人おすすめのオーロラ鑑賞スポット。
周辺は公園や自然保護区となっており、トロムソ市内では街明かりが比較的少ない場所です。
湖の周囲には街灯や住宅街があって完全な暗闇ではありませんが、オーロラを見るには十分な暗さです。
ホテルやレストランが立ち並ぶ繁華街からPrestvannetまでは徒歩で約20~30分。
歩いて行ける距離ですが、坂道になっていて冬場は滑りやすいので、バスでのアクセスが便利です。
トロムソ繁華街から
・徒歩 約25分
・バス路線 28番 / 40番
(Prestvannet下車)
Telegrafbukta
Telegrafbuktaは、Tromsøya島の南端にある入り江。
海に面しているので、視界を遮るものがなく、オーロラ鑑賞に最適なスポットです。
フィヨルドや山々に囲まれて、オーロラと一緒にノルウェーの美しい自然景観を楽しむことができます。
トロムソ中心部からのアクセスもよく、バスで約10分。
鑑賞スポットのすぐ近くにバス停があり、乗り換えもなしで簡単に行くことができます。
トロムソ繁華街から
・徒歩 約35分
・バス路線 往路33番、復路34番
(Telegrafbukta下車)
Tromsø Viewpoint
標高421mのStorsteinen山にある展望台からは、市街地や周囲の島々とフィヨルドの景色が楽しめます。
360度見渡すことのできる山頂は、秋から春にかけてオーロラ鑑賞スポットとして人気です。
Storsteinen山の頂上へはケーブルカーを利用するのが一般的で、乗車後は約4分で到着します。
徒歩で登ることもできますが、登山道は合計1200段の階段となっており、急勾配でなかなか登りごたえがあります。
トロムソ繁華街からケーブルカー乗り場
・徒歩 約40分
・バス路線 26番(Fjellheisen下車)
・タクシー 約10分
繁華街エリアのオーロラ鑑賞スポット
先に述べた3つの鑑賞スポットは繁華街からのアクセスがいいものの、少し距離があります。
繁華街のど真ん中からオーロラを見たい場合は、トロムソ港周辺がおすすめ。
そこでは比較的暗い場所を見つけることができます。
とはいえ、やはり繁華街は明るいので、可能ならば徒歩やバスで少し離れた場所からオーロラを鑑賞したほうが見られる確率は上がります。
【体験談】自力で街中オーロラハンティング
2024年3月中旬にトロムソの街中から、実際に2日間オーロラを見ることができました。
以下はそのときの体験談です。
Tromsø Viewpoint
【コンディション】天気や太陽活動の状態は?
まず、この日の空模様や太陽の活動状況から簡単に紹介します。
天気は雲ひとつない快晴。気温は3月中旬でもしっかり寒く、日が沈んだ夜間は氷点下3度~氷点下6度ぐらいでした。
オーロラ鑑賞にもってこいな澄んだ夜空で、オーロラの出現に期待がふくらみます。
一方、太陽活動の状況はいまひとつ。Kp指数の予報は「2」でした。
Kp指数とは?
Kp指数は、太陽風によって引き起こされる地磁気活動のレベル(オーロラの強さ)を表します。
範囲は0~9まであり、値が大きいほど地磁気の乱れが大きく(オーロラが強く)なります。
- Kp 0~2 … 静か(オーロラ弱)
- Kp 3 … 不安定
- Kp 4 … 活発
- Kp 5~6 … 小中程度の磁気嵐
- Kp 7~9 … 強い磁気嵐(オーロラ強)
【体験記】オーロラ・ハンティングの流れ
この日のオーロラ・ハンティングの流れは以下の通りです。
3月中旬のトロムソは日がだんだん長くなってきて、空が暗くなるのも遅め。
19:30ごろ滞在先を出ましたが、かろうじて星がいくつか見えるくらいの薄暗さでした。
- 19:30宿泊先を出発して、路線バスに乗車
- 20:00北極教会でオーロラ鑑賞
- 20:30山麓のケーブルカー乗り場に到着
(待ち時間 約45分) - 21:15上りのケーブルカーに乗車
- 21:20Storsteinen展望台に到着
オーロラ鑑賞 - 22:30山頂カフェで休憩
- 23:25下りのケーブルカーに乗車
- 23:30山麓のケーブルカー乗り場に到着
タクシーで帰路につく
ケーブルカー乗り場へ行く途中に、トロムソのランドマークとなっている北極教会があったので、ついでに立ち寄ってみました。
北極教会からケーブルカー乗り場へは徒歩で約15分です。
北極教会前でバスを降りたところ、ちょうど薄っすらオーロラらしきものを目撃!
急ぎ足で教会周辺の比較的暗い場所へ行き、さっそくオーロラを見ることができました。
ある程度オーロラ鑑賞を楽しんだところで、お目当てのケーブルカーへ向かいます。
歩いている途中に住宅街でもオーロラがはっきり見えました。
立ち止まってオーロラを見たりしながら、ゆっくりと歩いて20:30ごろにケーブルカーの山麓駅に到着。
そこはまさかの大混雑で、ケーブルカー乗り場の建物の外まで行列ができていました。
並んで待つこと約45分。その間にもオーロラは出たり消えたりを繰り返しています。
ようやくケーブルカーに乗車し、山頂に着いたのは21時過ぎ。寄り道していたこともあり、当初の予定より遅くなってしまいました。
ちなみに、この時点で下りのケーブルカーにも上りと同程度の長い列ができていました。
気を取り直してオーロラハンティングを再開。
しばらく待つと、トロムソの街の上空にオーロラがゆらゆらと現れました。
約1時間オーロラ鑑賞を楽しみ、体が冷えてきたところで下りのケーブルカー乗り場の列をチェック。
このときの時刻は22時半ごろ。山頂に着いたときよりも、さらに列が延びていました。
冷えた体で長時間、外に並んで待つのはつらいので、ケーブルカー乗り場に併設するカフェで一度温まることにしました。
山頂のカフェは23:30まで開いています
23時を過ぎると行列も短くなっていき、約15分の待ち時間でケーブルカーに乗車できました。
タクシーで宿泊先に戻り、この日のオーロラハンティングは終了です。
【レビュー】Tromsø Viewpointでのオーロラ鑑賞
Tromsø Viewpointでオーロラ鑑賞をした際、よかった点や微妙だった点などの感想をまとめてみました。
【よかった点】
・視界を遮るものがなく、全方角からオーロラが見られる
・トロムソの美しい夜景
・山頂カフェで待機できる
・人出があり、夜遅くても比較的安心
山頂のオーロラ鑑賞でよかった点は、何と言っても空が広いこと。
全方位を見渡すことができるので、どの方向にオーロラが現れても見ることができました。
また、トロムソの街を一望できる展望台はトロムソ観光の定番スポットです。
たとえオーロラ現れず、オーロラハンティングが失敗に終わったとしても、その夜景だけでケーブルカーに乗車する価値があると思います。
ケーブルカーの山頂駅にカフェが併設されていて、夜遅くまで開いているのもよかったです。
暖を取りながらオーロラの出現を待ったり、オーロラ鑑賞後に温かい飲み物でほっと一息ついたりするができました。
トロムソ市内での鑑賞スポットとしては全体的によかったTromsø Viewpointですが、いくつか微妙だった点もありました。
【微妙だった点】
・ケーブルカーに乗車するための行列
・街の明かりでオーロラが見えにくい
1つ目は、ケーブルカーに乗車するための待ち時間。
ちょうど列に並んで待っている約45分の間に、その日のオーロラのピークを迎えてしまって残念でした。
空が薄暗くなり始めてからケーブルカー乗り場へ向かいましたが、もっと早めに到着して待機しておけばよかったです。
ケーブルカーの乗車券はオンラインで事前購入しておきましょう!
2つ目は、想像していたより街明かりの影響でオーロラが見えにくくなること。
特にトロムソ市街の上空にオーロラが現れた場合、かすんで見えます。
この日はその方向にオーロラが出ることが多く、実際に自分の目で見るオーロラはぼんやりとしていました。
反対側の山地の方向はもう少し星空がしっかり見えたので、そちら側にオーロラが現れた場合はもっときれいに見えるのかなと思います。
今回は試しませんでしたが、ケーブルカーの駅からさらに山の奥の方に続くハイキングコースがあります。
そちらに向かって進んでいくと街明かりの影響はもう少し小さくなりそうです。
登山コース【Sherpatrappa】
ケーブルカー以外に、歩いてStorsteinen山を登る方法があります。
約1,200段の階段を上るコースは中程度の難易度で、所要時間は約1時間です。
Telegrafbukta
【コンディション】天気や太陽活動の状態は?
この日は空全体にうっすら雲が広がっていて、1日目より空模様はいまひとつ。
しかし、ところどころに星が見えてオーロラも見られる可能性があるということで、オーロラハンティングをしてみることに。
気温は0度前後と冷え込み、まだ少し地面に雪が残っていました。
オーロラの強さの目安になるKp指数は「5」。
太陽活動が活発になるという予報に、オーロラ爆発に出会えるかもと期待が高まります。
【体験記】オーロラ・ハンティングの流れ
2日目は空が暗くなり始める20:30ごろ、Telegrafbuktaの海岸公園に到着。
すでに多くの観光客がオーロラ鑑賞のために集まっていました。
空を見上げてオーロラを探しながら待つこと約20分。
トロムソ市街地の方向に雲のようなぼんやりとしたオーロラが現れ始めました。
この時点では肉眼では見過ごしてしまうくらいの弱いオーロラで、カメラのレンズを通して確認しました。
しばらくしてフィヨルドの方向に肉眼でもはっきり分かるようなオーロラが出現。
とはいえ、1日目のオーロラと比較するとかなり弱くて薄いオーロラでした。
消えたり現れたりするオーロラを約1時間楽しんだところで、帰りのバスの時間からオーロラ鑑賞を終了しました。
夜間の路線バスはTelegrafbukta~繁華街エリアを30分間隔で運行しています
【レビュー】Telegrafbuktaでのオーロラ鑑賞
Telegrafbuktaでのオーロラ鑑賞で、よかった点や微妙だった点などの感想です。
【よかった点】
・公園内に街灯がなく、十分な暗さ
・繁華街エリアからのアクセスが良好
・フィヨルドと雪山のきれいな景色
・公園内にベンチやトイレがある
・人出があり、夜でも比較的安心
・無料でオーロラ鑑賞が楽しめる
よかった点は、繁華街エリアから近いトロムソ市内にありながら、とても閑静でオーロラを見るために十分な暗さだったこと。
周辺は住宅街ですが、公園内に一歩入ると街灯がなく、一気に暗くなります。
海外で、それも夜遅い時間帯に暗い公園へ行くのは治安の面で心配になる人もいるかと思います。
今回、私が訪れた3月中旬はオーロラ鑑賞のために多くの観光客が集まっていて常に周りに人がいたので、特に危険を感じることはありませんでした(もちろん油断は禁物です)。
実際に1人でオーロラ鑑賞をしている人を何人も見かけました。
【微妙だった点】
・オーロラが出現する方向によっては街明かりで見えにくい
・飛行機や船などのライトが妨げになる
・強く冷たい風によって体温が奪われる
・遊歩道が雪や氷で滑りやすい
トロムソ市内で楽しめる鑑賞スポットとしては、満足度の高いTelegrafbukta。
無料でオーロラが見られるということを考慮すると、得に大きなマイナス点は感じませんでした。
強いて言うなら、住宅街や繁華街のある方向にオーロラが現れた際に、オーロラの強さによっては光害で見えにくくなること。
そのほかに、目の前を行き交う船や飛行機のライトがオーロラ撮影の妨げになることが何回かありました。
注意すべき点としては、しっかり防寒対策をすること。
強く冷たい海風が直接体に当たるので、実際の気温よりもかなり寒く感じます。
また、公園内の遊歩道は踏み固められた雪や再凍結でつるつる。とても滑りやすくなっていて、転んでいる人も見かけました。
街中vs郊外や田舎、オーロラ鑑賞はどちらがいい?
これまでは実体験をもとに、トロムソでは街中でもオーロラが見られるということを紹介してきました。
では、トロムソの街中で見る場合と郊外や田舎で見る場合で、オーロラの見え方に違いはあるのでしょうか?
肉眼でオーロラ鑑賞を楽しむ場合は、確かに見え方に大きな違いがあります!
以前、トロムソの田舎でもオーロラを見ることができました。
そのときの記事はこちら。
天気や太陽活動などの状況が違うため、単純に比較はできませんが、人工の光が少ない田舎でオーロラを鑑賞するほうが何倍もきれいに見えました。
今回、街中でオーロラ鑑賞をしてみて得に実感したのは、オーロラの見え方は光害の影響を大きく受けるということ。
私は自宅のバルコニーからオーロラが見られる地域、スヴァールバル諸島に住んでいるので、極夜の時期はオーロラが日常生活の一部になっています。
ですが、トロムソでオーロラを見る機会があるときは毎回とても楽しみです。
というのも、スヴァールバル諸島は緯度が高すぎてオーロラが出現するエリアにギリギリ入るか入らないかという場所。
基本的にトロムソで見られるような強いオーロラが現れることはめずらしいです。
なので、トロムソの田舎では天気が悪かったにもかかわらず、空一面にオーロラが現れて大興奮でした。
反対にトロムソの街中で見たオーロラは天気も太陽活動もよかったものの、「まあ、こんなものか」というのが正直な感想です。
これなら、普段から自宅周辺で見ているオーロラのほうが断然きれい。
スヴァールバル諸島は人口約2,500人の孤立した島なので、トロムソに比べて光害が本当に少なく、弱いオーロラでも十分きれいに見えます。
今回、1日目はトロムソ市内から肉眼でもしっかり見える強いオーロラが現れましたが、現地ツアーに参加してもっと暗い場所でしっかり見たかったというのが本音です。
ちなみに、ノルウェーで現地ツアーを予約する場合は、「GetYourGuide」というサイトがおすすめです。
日本語でツアーの検索&予約ができ、トロムソ発着のオーロラツアーも豊富に取り扱っています。
まとめ
以上、トロムソの街中でオーロラが見られるかの検証でした。
結果としては、確かにトロムソ市内からオーロラを見ることができます。
しかし、オーロラも星空と同じで、人工の光が少ない暗闇で見るほうが断然きれいです!
せっかくオーロラを見にトロムソへ旅行するのであれば、少なくとも1日はレンタカーを借りたり、ツアーに参加したりして、暗い場所でしっかり鑑賞するのがいいかなと思います。
街中でオーロラを見る場合と郊外で見る場合を使い分けて、ぜひトロムソでのオーロラ鑑賞を楽しんでくださいね。