オーロラが見られるかどうかは、天気や暗さ、太陽活動の活発さなど、さまざまな条件が整っているかによります。
ですが、オーロラ鑑賞旅行やツアーを計画する段階で天気や太陽活動の予測をするのは難しいですよね。
一方で月の満ち欠けの周期は事前に把握でき、オーロラ鑑賞の予定日に空が暗くなるか、ある程度は知ることができます。
この記事では、月明りがオーロラ鑑賞にどのくらい影響するのか解説します。
満月と新月どちらにしても長所と短所があるので、ご自身に合った月齢を選んで、より一層オーロラ鑑賞を楽しみましょう!
満月の日にオーロラは見える?
満月の日は明るすぎてオーロラが見えないと思われがちですが、本当でしょうか?
結論から言うと、満月の日でもオーロラは見えます。
ただし、弱いオーロラは満月の明るさで見えにくくなることも。
一方で強いオーロラは月明りに負けず、肉眼でもはっきり見られることが多いです。
月明りの影響は?
満月の日にオーロラを見ることができますが、月明りはオーロラ鑑賞にどのくらい影響するのでしょうか。
やっぱり真っ暗な新月が一番?
月明りは月齢にともなって徐々に明るくなると思われがちですが、実際は満月ごろ急激に明るくなります。
満月の前後数日間では、満月の日の半分ほどの明るさしかありません。
このとき、月の約95%が照らされており、ほとんどの人にとって「満月」のように見えますが、月の明るさは満月の約半分です。
満月の明るさを100%とすると、半月の明るさは満月の10%ほどの明るさだそうです。
ですから、オーロラ鑑賞のために新月の日をピンポイントで狙う必要はありません。
満月の数日間を除けば、月が出ていてもオーロラ鑑賞は十分に楽しめます。
満月のメリット
オーロラ鑑賞には向かないと思われがちな満月の日ですが、メリットもあります。
主なメリットは、やはり明るさによること。
オーロラ鑑賞
- 足元が明るく、歩きやすい
- 周りの景色が楽しめる
- 野生動物などの危険を早い段階で察知できる
オーロラの時期は積雪や凍結で地面が滑りやすくなっていることが多いです。
満月の日は明るいので、足元に注意しながら歩けて転倒のリスクが少なくなります。
雪道や凍結した道を歩き慣れていない人には安心です。
また、月明りのおかげで遠くまで見渡すことができ、オーロラの出現を待っている間に景色を楽しむことができます。
冬場のオーロラが見られる地域では、一日中暗い極夜があったり、日が暮れるのが早かったりします。
この時期にできることは限られてきますが、満月の光があれば、犬ぞりやハイキングなどのアウトドア体験も満喫できますよ。
オーロラの写真を撮る際にも、満月の日ならではのメリットがあります。
オーロラ撮影
- 屋外でも簡単にカメラ操作ができる
- オーロラと人物を一緒に撮りやすい
- 夜空が青色に写って幻想的
一番のメリットは撮影の準備やカメラの操作が簡単にできること。
暗闇の中で撮影の準備をするのは難しいので、場合によってはヘッドライトや懐中電灯などを使用します。
ですが、ツアーに参加するときなど、周りにオーロラ鑑賞や撮影をしている人がいるときは、余計な明かりは他の人の邪魔になってしまいます。
満月の日はライトを準備したり、他の人に気を遣ったりしなくてもいいので、煩わしさがありません。
カメラの設定では、満月の日は新月の日と比べてシャッタースピードが速く(短く)なります。
オーロラと人物を一緒に撮影する場合、シャッタースピードは速いほうがきれいに撮りやすいです。
寒い中、じっと動かずに長い時間ポーズをキープするのは大変ですが、シャッタースピードが短ければ、ポーズをとる時間も短くなります。
オーロラを撮影した際に夜空の色が青色に写るのも、満月の日ならではで幻想的です。
夕暮れどきのような青い空に揺らめくオーロラは、新月の日とはまた違って特別感があります。
満月のデメリット
満月の明るさはメリットになりますが、一方でデメリットにもなります。
オーロラ鑑賞
- 弱いオーロラは見えにくい
- 月の方向にオーロラが出る
主なデメリットは満月の明りがオーロラ鑑賞の妨げになること。
満月の光で空がかなり明るいため、現れたオーロラがあまり強くない場合はオーロラが見えにくくなってしまいます。
オーロラが強い場合でも、月と同じ方向に出たときは少しかすんで見える可能性があります。
オーロラ撮影
- カメラの設定が難しい
満月と被さるようにオーロラが出たときは、コツを掴むまでカメラの設定が少し難しいかもしれません。
月が明るいので通常のオーロラ撮影よりシャッタースピードを速くしたり、ISO感度を下げたりしますが、その分オーロラをきれいに写しにくくなります。
満月の日は月やオーロラ、周囲環境の明るさのバランスを上手く取る必要があります。
新月のメリット
オーロラ鑑賞に新月の暗さは多くの人が予想する通り、メリットになります。
オーロラ鑑賞
- 町周辺でも鑑賞スポットが見つけられる
- 方向を気にせず鑑賞ができる
- 星空が楽しめる
町明かりや街灯が多少あっても、オーロラ鑑賞ができるのは新月の良いところ。
暗めの場所を探せば、街中からオーロラが見られる可能性もあります。
その他のメリットとしては、月明りの影響を気にする必要がないことがあります。
空一面が真っ暗な新月の日はどの方向にオーロラが現れても大丈夫です。
また、光害から離れた大自然の中でオーロラ鑑賞をする場合、快晴であれば満点の星が見られます。
オーロラの出現を待ちながら、ゆっくり星空を眺めるのも日常から離れた特別なひとときです。
オーロラ撮影
- 弱いオーロラでも比較的きれいに撮影できる
- オーロラと一緒に星空を撮りやすい
オーロラの色といえば、緑色を想像する人が多いのではないでしょうか。
一番よく見られるのは緑っぽい色のオーロラですが、肉眼では見えにくい色もあり、カメラを通して見るオーロラは実にカラフルです。
空が暗くて光害が少なければ、赤、ピンク、紫、青などのオーロラの色もはっきりきれいに撮れる可能性があります。
新月の日はシャッタースピードを遅く(長く)できるので、雲のような弱いオーロラや星空も比較的きれいに写せます。
色あざやかなオーロラやオーロラと一緒に満天の星を撮影できるのは、新月の日ならではの良いところです。
新月のデメリット
一般的に新月はオーロラ鑑賞に適しているといわれますが、小さなデメリットもあります。
オーロラ鑑賞
- 周りの景色が楽しめない
- 暗闇で視界が悪くなり、足元や野生動物に注意
オーロラ鑑賞はたいてい光害の少ない暗い場所で行うので、新月の日は本当に真っ暗です。
国立公園や雄大な自然の中で見るオーロラはとても神秘的ですが、新月の日だと暗すぎて周りの景色がよく見えない可能性があります。
また、周囲の視界も悪くなり、危険の発見が遅れがちになります。
私が普段オーロラ鑑賞をしているスヴァールバル諸島では、ホッキョクグマが生息しており、新月の暗闇の中に1人でいたら、やはり心細いです。
ホッキョクグマとまではいかないとしても、オーロラが見られる北極圏には様々な野生動物が生息しています。
北欧諸国では郊外や田舎の道を運転していると、ヘラジカの注意標識をよく見かけます。
ヘラジカは体長が2~3m、体重が800gに達することもある大型の動物。
基本的には人間との遭遇を避けて暮らしているようですが、ばったり出くわした場合、または子連れの場合は攻撃的なこともあるそうです。
ツアーに参加するときは現地ガイドや周りに人がいるので比較的安心ですが、個人でオーロラ鑑賞をする場合は場所によっては注意が必要です。
オーロラ撮影
- 背景が暗くなりがち
- オーロラと人物を一緒に撮影しにくい
オーロラ鑑賞と同様にオーロラの写真を撮る際にも、新月の日は前景や背景が暗くなりがちです。
オーロラと一緒に記念撮影をするときは、オーロラにカメラの設定を合わせるので、人物が暗めに写ります。
月明りが足りないときは人物を照らすライトを使用することもありますが、コツを掴むまで何回か試す必要があるかもしれません。
新月の日は満月の日と反対にシャッタースピードの設定を遅く(長く)します。
そのため、オーロラと人物を一緒に撮影するときはポーズをキープするのが大変になります。
オーロラと人物のシルエットを撮影する場合、わずかに動いてしまっても影響は少ないでしょう。
ですが、オーロラを背景に人物をメインとして撮る場合は撮影中に体や表情が動いてしまうと、ブレた写真になってしまいます。
まとめ
今回は満月と新月の下でのオーロラ鑑賞や撮影について長所と短所をまとめました。
満月の日も新月の日もそれぞれの良さがあり、どちらの方が良いかは一概には言えない部分があります。
どんな環境下でオーロラを見たいか、またはどんな雰囲気のオーロラ写真を撮りたいかで変わってくると思います。
オーロラ鑑賞旅行を計画する際は、ぜひ月齢にも注目してみてくださいね!