「迫力のあるオーロラを見てみたい!」──そんな思いを胸に訪れたのは、ノルウェー北部の街・トロムソ。
世界でも有数のオーロラ観測地として知られていますが、「実際どのくらいの確率で見られるの?」 と気になりますよね。
結論から言うと、私が5泊したときにオーロラを見られたのは2晩(約40%)。
ただしこれは単なる数字にすぎず、オーロラは天候・タイミング・運──いくつもの条件が重なって、はじめて出会える自然現象です。
この記事では、「確率を気にしすぎず、チャンスを広げる方法」という視点で、
- “滞在中の実際の出現状況”
- “オーロラが見えやすい時期や条件”
- “観測のコツと過ごし方”
などをまとめました。
トロムソへの旅行を考えている方に向けて、
「どんな条件で見えたの?」「何日くらい滞在すればチャンスがある?」
そんな疑問に、現地で感じたリアルな体験を交えてお伝えします。
トロムソでオーロラが見られる確率は?【結論と概要】
「トロムソでは、オーロラってどのくらいの確率で見られるの?」──これは多くの人が最初に気になるポイントですよね。
ネットで「オーロラ 出現確率」と検索すると、
- 「30%」
- 「3日に1回」
- 「週に2〜3回」
など、さまざまな数字が並びます。
ただし、実際にはどれも明確な根拠があるわけではなく、“目安”や“経験則”の域を出ていません。
私自身、オーロラ圏に暮らす中で実感しているのは──
「確率という数字だけでは語れない」ということ。
数週間まったく見えないこともあれば、1週間ほぼ毎晩出ていることもあります。
オーロラに出会うには、最低でも次の3つの条件がそろう必要があります。
- 空が暗い(光害が少ない)
- 天気が良い(雲が少なく、晴れ間がある)
- 太陽活動が活発(Kp値が高い)
このうちどれか一つでも欠けると、オーロラが出ていても見えないことも。
だからこそ、「見える確率」はあくまで自然条件の重なり具合で決まるものなんです。
数字にとらわれすぎず、“運も含めて楽しむ”くらいの気持ちで臨むのが、いちばん後悔のない見方だと思います。
実際に見えた確率は?5日間の観測結果
では、実際にどのくらいの頻度でオーロラを見られたのか──
私がトロムソに5日間滞在したときの結果は、2晩オーロラを見ることができました!

つまり、遭遇率は40%
この結果は、ネット上でよく言われている
「トロムソでは週に2〜3回見られる」「遭遇率30〜40%前後」という目安ともおおむね一致します。
もちろん、これはあくまで“一例”。
もし5日間ずっと曇りが続けばゼロのこともあるし、逆に天気が安定していれば毎晩出ることもあります。
だから「オーロラを見られる確率」は、滞在中に“チャンスを増やす工夫ができるか”にかかっています。
次の章では、私が実際に感じた「見えやすい時期と条件」「観測しやすい時間帯」について詳しく紹介します。
オーロラが見えやすい条件と時期
オーロラの「確率」は、結局のところ条件次第。
ここでは、私の体験と現地の一般的な傾向から、トロムソでオーロラが見えやすい時期と時間帯を紹介します。
「いつ行けばいい?」「どの時間にチャンスが多い?」という疑問の目安にしてくださいね。
トロムソのオーロラシーズン|白夜・極夜と観測のベスト時期
トロムソのオーロラシーズンは、9月中旬~4月上旬ごろ。
一方で、5月中旬〜7月下旬は白夜の時期にあたり、太陽が沈まず空が暗くならないため、オーロラは見られません。
また、11月下旬〜1月中旬は極夜(太陽がまったく昇らない季節)。
暗い時間が長くなるため、観測チャンスが最も多いのは10月〜3月中旬です。
中でも 2月〜3月は昼の観光+夜のオーロラ観測の両方が楽しめる人気シーズン。
世界中から観光客が訪れ、トロムソが一年で最もにぎわう時期です。
トロムソでオーロラが出やすい時間帯の目安
オーロラは太陽風(太陽から放出される荷電粒子)が地球の磁気圏にぶつかることで発生するため、「何時に出るか」を正確に予測することはできません。
ただし、トロムソでは18:00〜02:00ごろが最も出現しやすい時間帯とされています。
多くのオーロラツアーが18:00〜19:00にスタートするのもこのため。
もし自力で観測する場合は、19時以降の2〜3時間を中心に空をチェックしておくのがおすすめです。
なお、ノルウェーでは 3月末〜10月末がサマータイム期間。
この時期は日没が約1時間遅くなるため、ツアー開始が20:00以降になることもあります。
重要なのは「何時に出るか」よりも、晴れていて空が十分に暗い時間帯に外にいること。
私の経験上、雲の隙間から突然オーロラが現れることもあるので、「あきらめずに空を見続ける」ことが最大のコツです。
天気・月明かり・太陽活動など見え方を左右する要素
オーロラ観測で大きなカギを握るのが、天気・月明かり・太陽活動の3つ。
これらはどれも「確率」に直結する要素です。
① 天気(雲の量)
曇っていても少しの切れ間があるだけで見えることもあります。
雨や雪よりも「部分的に晴れ」がある夜が狙い目です。
現地では“曇り予報でも意外と見える”ことも多いので、あきらめずに空を確認してみましょう。
② 月明かり
満月の夜は空が明るく、弱いオーロラは見えにくくなります。
一方で、月明かりが雪原や山を照らして幻想的な写真が撮れるというメリットもあります。
「撮影重視」か「肉眼重視」かで、どちらを優先するか決めましょう。
✅ 詳しく知りたい方はこちら:
オーロラ鑑賞は満月と新月どっちがいい?月明かりの影響を徹底解説↗
(実際の観測写真を交えて、月の明るさによる違いを比較しています)
③ 太陽活動(Kp値)
オーロラの強さを示す指数で、Kp値が高いほど出現しやすい傾向があります。
ただし、Kpが低くても“局地的な爆発”で強い光が出ることもあるため、予報はあくまで目安として捉えましょう。
現地では「SpaceWeatherLive」や「My Aurora Forecast」などのアプリで簡単に確認できます。
これら3つの条件がそろった夜は、まさに絶好のチャンス。
北極圏で暮らす筆者も何度もオーロラを目にしてきましたが、Kp値が高く晴れた夜に空いっぱいに広がるオーロラは、何度見ても息をのむ美しさです。
5日間のオーロラ観測記録|天気と出現状況レポート

トロムソ滞在中の5日間、毎晩空を見上げて過ごしました。
ここからは、各日の天気とオーロラ出現の様子を振り返ってみます。
1日目|オーロラ ✖
天気:本曇り
宿泊先に着いたのは夜18:00ごろ。
空は厚い雲に覆われ、星も見えず…。
こまめに空をチェックして23:00まで粘りましたが好転せず、この日は断念。
2日目|オーロラ 〇
天気:晴れのち曇り
19:00ごろ、ふと空を見上げると…オーロラが出現!
薄く見え始めたと思ったら、一気に空全体を覆う“オーロラ爆発”に。
出たり消えたりを繰り返しながら、約1時間半にわたって鑑賞できました。
その後は急速に雲が広がり、観測終了。
3日目|オーロラ 〇
天気:曇りのち雪
一日中曇りで雪も舞い、「今日は無理かも」と思っていた21:00ごろ。
なんと雲の切れ間から力強いオーロラが!
雲越しでもしっかり動きがわかるほどの明るさで、雪がちらつく中での幻想的な体験となりました。

天気が悪くても、諦めるのはまだ早いかも!
雲の厚さやオーロラの強さによっては、十分チャンスがあります◎
4日目|オーロラ ✖
天気:雪
朝から雪が降り続き、回復の見込みもゼロ。周辺の天気も似たような状況で移動は断念。
この日は静かに過ごしました。
✅ 天気チェックに便利なサイト
5日目|オーロラ ✖
天気:快晴
最終日は朝から快晴。空は澄み渡り、オーロラへの期待も高まります。
予報でもKp指数「6+」と好条件。
Kp指数は、太陽風の影響で地磁気がどのくらい乱れているか(=オーロラの強さの目安)を示す指標。
数値が大きいほど、肉眼でもはっきり見える強いオーロラになる可能性が高まります。
・Kp 0~2 … 静か(弱いオーロラ)
・Kp 3 … 不安定
・Kp 4 … 活発
・Kp 5~6 … 中程度の磁気嵐
・Kp 7~9 … 強い磁気嵐(広範囲で強いオーロラが出現)
暗くなり始める18:00ごろから、空を観察しながら待機していました。
ところが、実際のリアルタイム値は「1」のまま…。結局オーロラは出現せず。
天気・暗さ・太陽活動。この3つが揃わなければ出会えない──それもまた、オーロラ観賞の醍醐味なのかもしれません。

やはりオーロラは気まぐれな現象です
✅ おまけ|ライブカメラをチェック!
リアルタイムで空の様子を知りたいときはライブカメラが便利です。
オーロラ観測を成功させるコツと滞在の工夫
鑑賞スタイルの選び方|ツアー参加 vs 自力観測
トロムソでオーロラを鑑賞する方法は、大きく分けて「ツアー参加」と「自力観測」の2つ。
どちらにもメリットがあるので、旅の目的や滞在スタイルに合わせて選ぶのがポイントです。
ツアーで観る:安心&効率重視の定番スタイル
トロムソ発のオーロラツアーは種類がとても豊富。
ガイドが天候や雲の動きを見ながら最適な場所へ案内してくれるため、初めての人や短期滞在の人におすすめです。
代表的なツアータイプ:
- バスでオーロラを追いかける「ハンティングツアー」
- 鑑賞ポイントが決まっている「滞在型ツアー」
- 海上から空を眺める「クルーズツアー」
- 犬ぞりやスノーモービルと組み合わせた「アクティビティ型」
こうしたツアーは、現地予約サイト「GetYourGuide↗」などで簡単に比較・予約できます。
日本語対応で口コミも充実しているので、トロムソ滞在がはじめてでも安心です。
📝 関連記事:
トロムソ発オーロラツアーの選び方|予約前に知っておきたい8つのポイント↗
なお、12月や2〜3月のピークシーズンはどのツアーも早く満席になる傾向があります。
気になるツアーは早めの予約が◎です。
自力で観る:自由度重視の“オーロラハンティング派”
「自分のペースで観たい」「混雑を避けたい」という人には、自力観測もおすすめです。
私自身も今回の滞在ではツアーを利用せず、郊外にある Hytte(ヒュッテ) に宿泊して観測に挑戦しました。
オーロラ予報アプリをこまめにチェックし、晴れ間が出たらすぐ外に出られるよう準備。
結果的に、宿泊先の敷地からそのまま鑑賞できるという幸運に恵まれました。
📝 関連記事:
【最新版】目的別に選べる!無料のオーロラ予報アプリおすすめ5選↗
レンタカーを利用すれば、雲が少ないエリアを目指して移動する“自力ハンティング”も可能です。
ただし、冬のトロムソは積雪や凍結が多く、特に日没後は路面が非常に滑りやすくなります。
雪道の運転に慣れていない人は、無理をせず安全を最優先にしましょう。
✅ どちらがおすすめ?
スタイル | 向いている人 | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
ツアー参加 | 初心者・短期滞在者 | 天候判断はガイド任せで安心。送迎付き。 | 日程が固定される/料金は高め |
自力観測 | 写真を撮りたい人・自由行動派 | 自分のペースで動ける。静かな環境で鑑賞できる。 | 天気判断や移動は自己責任 |
どちらを選ぶにしても、「天気」「場所」「行動力」が出会いのカギ。
自分に合ったスタイルで、最高のオーロラ体験を楽しみましょう。
トロムソ郊外のHytte滞在|オーロラ観測にぴったりの宿泊スタイル

自力観測に挑戦した今回の旅では、宿泊先にもこだわりました。
私が5日間の滞在で選んだのは、トロムソ郊外にある Hytte(ヒュッテ)。
Hytteとは、北欧で一般的な山小屋や別荘のこと。
Airbnb や Booking.com などでも短期で借りられる人気の宿泊タイプです。
静かな郊外にあり、街明かりの影響を受けにくいのが魅力。
夜になると周囲は真っ暗になり、星空とオーロラを独り占めできるような環境でした。
一方で、トロムソ中心部にもホテルのテラスや窓からオーロラを見られる宿がたくさんあります。
観測を最優先するなら郊外、アクセスや観光を重視するなら市内滞在がおすすめです。
📝 関連記事:
トロムソでオーロラが見えるおすすめホテル特集はこちら↗
【旅行計画の参考に】トロムソってどんな街?
「実際、どんな場所なの?」という疑問を持つ方のために、トロムソの基本情報とアクセスをまとめました。
北極圏の玄関口としての特徴
ノルウェー北部に位置するトロムソは、北極圏の玄関口として知られる街。
緯度は約69度、オーロラベルトの真下に位置しており、世界でも有数のオーロラ観測地です。
人口は約8万人ほどで、街にはカフェやレストラン、博物館なども多く、思った以上に“都会的”。
「北極圏」と聞くと厳しい環境を想像しがちですが、
海流の影響で冬でも気温は −5℃前後と、意外と穏やかに過ごせます。
トロムソへの行き方|日本・ヨーロッパからのアクセスと国内線情報
✅ 日本からのアクセス
日本からノルウェーへの直行便は現時点では運航していません。
そのため、北欧の主要都市を経由して向かうのが一般的なルートです。
主に利用される都市は以下の2つ:
- コペンハーゲン(デンマーク)
- ヘルシンキ(フィンランド)
どちらも北欧のハブ空港として便が多く、乗り継ぎも比較的スムーズです。
代表的なルートの一例を挙げると──
- 日本 → コペンハーゲン(約12〜13時間)→ オスロ(約1時間)
- 日本 → ヘルシンキ(約13~14時間)→ オスロ(約1時間半)
※便の有無や運航スケジュールは季節によって変動するため、航空会社や予約サイトで最新情報を確認しましょう。
オスロからトロムソまでは約2時間のフライトで、SASやNorwegian Airなどが1日10便前後運航しています。
トロムソ空港から市街地までは、バスやタクシーで約10〜15分とアクセスも良好です。
✅ ヨーロッパ主要都市からのアクセス
ヨーロッパの主要都市からもトロムソへの直行便が運航されています。
たとえば ヘルシンキ・ストックホルム・アムステルダム・ロンドン・パリ・ベルリン などからの直行便があり、
特に冬(11〜3月)のオーロラシーズンには増便されることもあります。
ただし、都市やシーズンによって運航状況が変わるため、航空会社公式サイトや予約サイトで最新の便を確認するのがおすすめです。
💡 冬季(11月〜3月)は雪や天候の影響で遅延が発生することもあります。
乗り継ぎには余裕をもったスケジュールを立てましょう。
まとめ|トロムソは“確率以上にチャンスがある街”
「確率はあくまで目安。でも、条件を整えた人ほどオーロラに出会える」
──これは、実際に滞在して感じた率直な実感です。
今回のトロムソ滞在は5日間。そのうち2晩、しっかりオーロラを見ることができました。
郊外の宿泊先から自力で観測しましたが、もし現地ツアーに参加していれば、もう1〜2回チャンスが増えていたかもしれません。
というのも、オーロラツアーでは天候にあわせて雲の少ないエリアまで移動してくれるため、トロムソ周辺が曇っていても観測できる確率が高いんです。
場合によっては6〜7時間かけて観測ポイントを探し、国境を越えてフィンランドまで足を伸ばすこともあります。
一方で、自力観測の魅力は「静かで特別な時間を自分のペースで楽しめること」。
ただし、雪道の夜間運転は想像以上にハードでした。
街灯のない真っ暗な道路や、積雪で狭くなった道では駐車場所を見つけるのも一苦労。
雪道の運転に慣れていない方は、安全を優先して現地ツアーを活用するのがおすすめです。