北極圏にあるスヴァールバル諸島(スバールバル諸島)。
ノルウェー領の群島で、旅行者の拠点になるのはロングイェールビーンという町です。
「スヴァールバル諸島って、そもそもどこにあるの?」
「人口はどのくらい?どんな場所?」
まずはそんなところから知りたい人も多いはず。
一方で、旅を具体的に考え始めると、気になるのはもっと現実的なこと。
治安や物価、そして町の外での安全ルール(ホッキョクグマ対策)。
場所によっては、電波が届かないこともあります。
この記事では、現地で暮らす筆者の視点から、スヴァールバル旅行の“入口”として役立つ基本をまとめました。
まず結論:30秒でわかるスヴァールバル諸島
- どこにある?
北極点まで約1,316km。ロングイェールビーンは、人口1,000人以上の定住地としては世界最北端として知られています。 - どんな場所?
人口は約2,500人規模。町はコンパクトで、北極圏らしい自然と暮らしが近いのが特徴。 - 何が有名?
白夜・極夜、野生動物、そして極地ならではの景色や体験。 - 治安は?
町中の治安は良好ですが、町の外はホッキョクグマ対策が前提です。 - 物価は?
ノルウェー本土とは税制(VATの扱い)が異なり、ものによっては安く感じることもあります。
一方で、食料品は輸送の影響で割高になりやすいです。予算が膨らみやすいのは「宿・航空券・現地アクティビティ」。
▶ 詳しく知りたい人はこちら
まずは雰囲気を知りたい:
・白夜って何?過ごし方
・出会える野生動物
旅を考え始めたら:
・ロングイェールビーンへの行き方
・いつ行く?ベストシーズン
・おすすめホテル&滞在エリア
世界最北の町はどこ?スヴァールバル諸島と主要な町の位置
スヴァールバル諸島の観光拠点はロングイェールビーン(Longyearbyen)です。
ロングイェールビーンは「世界最北端の町」としてよく紹介され、さらに北には研究拠点のニーオーレスン(Ny-Ålesund)もあります。
北極圏のどこにあるのか、まずは地図で位置関係を確認してみましょう。
スヴァールバル諸島は、北極点とノルウェー本土のほぼ中間にあたり、北緯74〜81度の範囲に位置する群島です。
9つの主要な島を中心に、たくさんの小さな島や岩礁から成り立っています。
一般の住民が暮らす町があるのはスピッツベルゲン島(Spitsbergen)です。
それ以外の島には、基本的に一般住民の町はありませんが、気象観測所などがあり少人数の職員が常駐しています(BjørnøyaやHopenなど)。
スピッツベルゲン島は約37,000㎢で九州と同じくらい。
諸島全体では約61,000㎢と、東北地方と同じくらいのスケールです。
その広い自然の中に、いくつかの居住地・拠点が点在しています。
▼気になる町からチェック。
- ロングイェールビーン:観光の拠点(宿・店・空港)
- バレンツブルク:ロシア系の炭鉱町(ツアーで)
- ピラミーデン:ゴーストタウン(ツアーで)
- ニーオーレスン:研究拠点(基本は立入制限)
- イスフィヨルド・ラジオ:僻地ホテル(宿泊パッケージ)
1. ロングイェールビーン(Longyearbyen)

スヴァールバル観光の拠点になる、「世界最北の町」として紹介されることも多い町。
人口は約2,500人規模で、町は小さくまとまっています。
もともとは炭鉱で栄えた場所ですが、今は観光・研究・教育の拠点として機能しています。
スーパーやレストラン、博物館などもあり、旅行者が滞在しやすい環境です。
日本から直行便はなく、オスロまたはトロムソ経由で空路が基本。
空港 → 市街地はバスで約10分。
旅行のしやすさ:町の中は個人旅行でもOK(町の外は安全ルールあり)
🔗 関連:ロングイェールビーンへの行き方を見る
2. バレンツブルク(Barentsburg)

「ノルウェー領なのにロシアの町みたい」な、不思議な居住地。
ロシア国営企業が運営する炭鉱の町で、独特な空気感があり、ロングイェールビーンとは文化圏がガラッと変わります。
ロシア人やウクライナ人を中心に、人口は300人前後。
スヴァールバルではロングイェールビーンに次ぐ規模の居住地です。
ロングイェールビーンからは直線距離で約36kmですが、道路がないためツアー参加が基本。
季節によって船(夏)やスノーモービル(冬)で訪問します。
旅行のしやすさ:現地ツアー参加が前提
3. ピラミーデン(Pyramiden)

ソビエト連邦時代に作られた炭鉱の町。
1998年に閉鎖され、今は“ゴーストタウン”として知られています。
廃墟になった建物や劇場が残り、時間が止まったような景色が見どころです。
春~夏季限定で観光用ホテルが営業しており、基本はツアーで訪問します。
- 夏(5月下旬〜10月):ボート / クルーズツアー
- 冬(3〜4月):スノーモービルツアー
旅行のしやすさ:ツアー訪問が前提
4. ニーオーレスン(Ny-Ålesund)

北緯79度にある、世界でも最北クラスの研究拠点。
ニーオーレスンは「町」というより、極地研究の国際的な拠点として知られています。
ノルウェーをはじめ10か国以上の研究施設が集まり、日本の国立極地研究所もここに拠点を構えています。
普段は研究者や管理スタッフなど約40人が滞在し、夏は短期プロジェクトの滞在者を含めて100人規模になることも。
研究目的以外の立ち入りは制限されており、観光は夏季限定のツアーが中心です。
- 開催時期:5月〜8月
- 行き方:ロングイェールビーン発の日帰りボートツアーが一般的
旅行のしやすさ:夏のツアーで訪問(立ち入り制限に注意)
5. イスフィヨルド・ラジオ(Isfjord Radio)

もともとは無線通信施設として建てられた場所。
現在はリノベーションされ、荒野のど真ん中にあるブティックホテルとして利用されています。
周囲は人里離れた場所ですが、館内にはWi-Fiやシャワーも完備。
北極圏の大自然と快適な滞在をどちらも楽しめる、特別な宿泊体験ができます。
季節によって移動手段が変わり、基本は宿泊付きツアー(パッケージ)で訪れます。
- ツアー会社:Basecamp Explorer Spitsbergen
- 夏:スピードボート(片道約1時間)
- 冬:スノーモービル / 犬ぞり(約90km)
- 宿泊:2~5日間の宿泊パッケージ
旅行のしやすさ:宿泊パッケージで訪問
旅行計画の立て方|何をする?何日必要?いつ行く?どう行く?
何をする?(スヴァールバルでできること)
結論から言うと、観光の中心は「町の周辺を楽しむ」+「ツアーで郊外へ」の組み合わせが基本です。
町のまわりでも景色は十分に北極圏らしく、野生動物や絶景に出会えるチャンスもあります。
一方で、町の外はホッキョクグマ対策が前提になるため、旅行者が個人で行ける範囲には限りがあります。
安全面もふくめて、初めてなら現地ツアーを上手に使うと旅が組み立てやすいです。
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何日必要?(初めてのおすすめ日数)
初めてなら、無理なく観光しやすいのは3泊4日が目安。
天候の影響を受けやすい土地なので、日程に少し余裕があると安心です。
🔗 関連:
3泊4日のモデルコースを見る
いつ行く?(目的でベストシーズンが変わる)
スヴァールバルは、季節によって体験が大きく変わります(白夜・極夜、オーロラ、野生動物など)。
先に「何を見たい / 何をしたいか」を決めると、行く時期が決めやすくなります。
白夜・極夜の時期や、目的別のベストシーズンは別記事でまとめているので、計画前に一度チェックしてみてください。
🔗 関連:
ベストシーズンを目的別に確認する
スヴァールバルのオーロラ事情を知る
どうやって行く?(ロングイェールビーンへのアクセス)
スヴァールバル諸島への玄関口は、ロングイェールビーン空港(スヴァールバル空港)です。
日本からの直行便はないので、ノルウェー本土(オスロまたはトロムソ)経由で入る形になります。
航空券の取り方や経由地の選び方で、移動のしやすさがけっこう変わります。
🔗 関連:
スヴァールバルの行き方を詳しく見る
治安は良好!でも気をつけたいホッキョクグマの存在

スヴァールバル諸島の中心地ロングイェールビーンは、治安がとても良好です。
スリや置き引きといった軽犯罪は少なく、町の中(境界標識の内側)であれば、夜の散歩も含めて過度に身構える必要はあまりありません。
ただし、この静かな町で気をつけたいのが──ホッキョクグマです。
通常は町から離れた場所での目撃が多いものの、まれに町の近くまで来ることもあります。
近年では、2019年末にロングイェールビーン市街地で確認された例や、2023年末に町近くで注意喚起が出た例もあります。
ですから、町の外へ出る場合はホッキョクグマ対策が前提です。
義務化はされていないものの、町の外では威嚇手段の携行が求められ、ライフル等の携行も推奨されています。
旅行者は現実的に、ガイド付きツアーを利用するのが最も安全で確実です。
スヴァールバルでは治安そのものは非常に良い一方で、自然環境には独自のリスクがあります。
都市型の危険を心配する必要はほとんどないですが、野生動物や自然条件への備えは必須です。
訪れる予定のある人は、“個人で動ける範囲”の線引きを先に確認しておくのがおすすめです。
🔗 関連:
個人で動ける範囲・絶景スポットをチェックする
お金と物価|カード事情と予算感・免税のポイント
支払いはカード中心|現金はほぼ不要
スヴァールバル諸島で使われている通貨は、ノルウェー・クローネ(kr / NOK)です。
支払いは基本的にクレジットカード。
キャッシュレス化が進んでいて、小さなカフェやお土産店でもカード払いが当たり前。
旅行中に現金が必要になる場面は、ほとんどないと思って大丈夫です。
私自身、現地で暮らして6年になりますが、スヴァールバルで現金を持って出かけたことは一度もありません。
注意したいのは、現地で現金を引き出せないこと。
ロングイェールビーンでは数年前に唯一の銀行が閉店し、それに伴ってATMも撤去されました。
そのため、旅行前にクレジットカードは複数枚準備しておくのがおすすめです(紛失・不具合の備えに)。
なお、ホテルやレストランはサービス料込みが一般的で、チップは基本不要です。
予算が膨らみやすいのは「宿・航空券・現地ツアー」
スヴァールバルはノルウェー領ということもあり、物価は全体的に高め。
なかでも出費が大きくなりやすいのは、宿泊費・航空券・現地アクティビティ(ツアー代)です。
とくに宿泊費は、ノルウェー本土と比べても割高に感じることがあります。
ハイシーズンは宿の数に対して需要が集中しやすく、料金が上がったり、予約が取りにくくなったりするので要注意です。
混雑のピークは主に次の2つの時期:
- 3月〜4月(冬のベストシーズン)
- 7月〜8月(夏休みの観光シーズン)
この時期に行く場合は、宿と航空券は早めにまとめて確保しておくと安心です。
🔗 関連:
ロングイェールビーンの宿選びのコツを見る
旅費を抑えるポイントをチェックする
食費の目安|外食とスーパーの価格の違い
スヴァールバル諸島は付加価値税(VAT)がかからない地域。
そのため、レストランはノルウェー本土より少し安く感じることもあります。
とはいえ、毎食外食だと出費は増えやすいので、目安として大まかな相場をご紹介します(価格は時期やお店で変わります)。
外食の目安(2025年12月)
- ビーフバーガー:240 NOK(約3,750円)~
- ピザ:225 NOK(約3,375円)~
- ラーメン:225 NOK(約3,375円)~
- コーヒー1杯:40 NOK(約600円)~
食費を抑えたい場合は、キッチン付きの宿で自炊を考える人も多いと思います。
ただしスヴァールバルでは、自炊=必ずしも安いとは限りません。
生鮮食品(野菜・肉・魚など)は空輸が中心で割高になりやすい一方、パスタや缶詰などの保存食は比較的価格が安定しています。
「外食+スーパー」をうまく組み合わせると、食費のバランスが取りやすくなります。
🔗 関連:
現地スーパーの物価と品揃えをチェックする
免税のメリット|お酒は本土よりお得に感じることも
もうひとつ特徴的なのが「免税」です。
スヴァールバルは免税エリアのため、ノルウェー本土では税負担が大きいものが、こちらではお得に感じることがあります。
とくに差が出やすいのがアルコール類です。
旅行者がアルコール類を購入する際は、購入条件の確認として航空券の提示を求められることがあります。
店頭で慌てないように、スマホの予約画面などをすぐ出せるようにしておくと安心です。
ちなみに、お酒はスーパーでは購入できず、スーパーの隣にある酒屋「Nordpolet」で購入するのが基本です。
インターネット・Wi-Fi事情|町の中は快適、外は圏外
極地にいるとは思えないほど、スヴァールバル諸島のインターネット環境はしっかり整っています。
ノルウェー本土と海底ケーブルで接続されているため、回線速度も比較的速く、日常的な利用には十分です。
ロングイェールビーンの町では、すべての宿泊施設でWi-Fiが利用可能。
カフェや空港でも無料Wi-Fiが用意されているので、滞在中のネット利用で困ることはあまりありません。
ただし注意したいのは町の外。
町から離れるとスマートフォンは圏外になり、インターネットも電話も利用できなくなります。
ツアーガイドや現地の人が緊急連絡用に衛星電話を携帯しているのは、そのためです。
とはいえ、町から少し離れた周辺エリアでも、場所によってはモバイル通信が入ることがあります。
私自身の経験でも、ロングイェールビーンから数km(目安で5km前後)くらいまでは、比較的つながりやすい印象です。
ロングイェールビーン近郊で行われるツアーの多くは、町の近く(比較的つながりやすい範囲)で開催されることもあり、地図の確認や連絡ができるだけでも安心感が違います。
宿ではWi-Fiが使えるので大きなデータ通信量は必要ありませんが、街歩きや非常用に旅行用のeSIMを用意しておくと便利です。
日本との時差は何時間?サマータイムに注意
スヴァールバル諸島(ロングイェールビーン)は日本より時間が遅く、通常は8時間差です(日本のほうが8時間進んでいます)。
たとえば、現地が10:00なら日本は18:00です。
ひとつ注意したいのがサマータイム(夏時間)。
毎年、3月の最終日曜日~10月の最終日曜日はサマータイムが導入され、この期間は時差が7時間 になります。
ツアーの集合時間やレストラン予約、フライト時刻は「現地時間」で案内されるので、渡航時期が夏時間かどうかだけは先に確認しておくと安心です。
公用語はノルウェー語!旅行者は英語で大丈夫?

スヴァールバル諸島はノルウェー領なので、公用語はノルウェー語です。
ただし、ロシア人やウクライナ人が暮らすバレンツブルクやピラミーデンでは、ロシア語やウクライナ語も使われています。
観光の中心となるロングイェールビーンは、世界50か国以上の人々が集まり、住民の約4割は外国人でとても国際的な雰囲気です。
そのため、日常生活や観光では英語が広く使われており、ホテルやツアー案内、レストランのメニューも英語対応が一般的。
旅行者は英語でコミュニケーションをとることができれば、困ることはほとんどありません。
電圧とプラグ|日本の電化製品は使える?
スヴァールバル諸島(ロングイェールビーン)の電圧は230V / 50Hz。
ノルウェー本土と同じ仕様です。
日本の電圧(100V)とは異なるため、日本の電化製品は「そのまま使えないもの」もあります。
まずは、手持ちの機器の表記をチェックしてみてください。
- スマホ / PCの充電器:多くは100–240V対応 → だいたいそのままOK
- ドライヤー / ヘアアイロンなど:100V専用が多い → そのままだと使えない / 故障リスク
不安なら、変圧器を持つより「海外対応(100–240V)の製品」を使うほうが軽くて安心です(変圧器は重くなりがち)。
プラグの形状は、丸ピン2本の「Cタイプ」が一般的。やや差し込みにくいですが、「SEタイプ」も使用可能です。
万が一変換プラグを忘れてしまったら、ロングイェールビーンのスーパーで購入できます。

飲料水事情|水道水は飲める?(※最新状況に注意)
ロングイェールビーンの水道水は、基本的にはホテルの客室でもそのまま飲めるほどインフラが整っています。
主に雪解け水が利用されており、ニオイやクセもほとんどありません。
ただし近年は水質の問題が話題になっていて、2025年12月時点では、マンガン濃度が高いとして「水道水を飲まない」推奨が出ています。
(自治体の説明では、急な健康被害というより、長期的な摂取に注意という位置づけです。)
そのため、滞在中はスーパーでミネラルウォーターを購入するのがおすすめです。
※水道水の最新情報は状況が変わることがあります。
出発前に Longyearbyen lokalstyre(自治体)の最新案内も確認しておくと安心です。
まとめ|安心してスヴァールバル諸島を旅するために
今回は、「世界最北の町って、どんなところ?」という素朴な疑問から、滞在中に役立つ実用情報まで──スヴァールバル諸島の概要をご紹介しました。
旅の拠点ロングイェールビーンには必要なインフラが整っている一方で、町の外は“自然のルールあり”が前提です。
最後に、旅行前に覚えておきたいポイントをまとめます。
- 観光の拠点はロングイェールビーン(Longyearbyen)
- 治安は良好で、一人旅も安心。町の外はホッキョクグマ対策が前提
- 町中のWi-Fi&ネット環境は◎ただし外は圏外になりやすい
- 日本との時差は通常8時間(夏時間は7時間)※日本のほうが進みます
- 公用語はノルウェー語(観光は英語でOK)
- 現金は不要。支払いはカード中心
- ホテル&航空券は割高(ハイシーズンは早めの予約を)
- 電圧は230V / プラグは丸ピン2本のCタイプ(SEタイプも可)
- 水道水は購入がおすすめ(2025年12月現在:水質の注意喚起あり)
スヴァールバル諸島には、ここでしか味わえない時間や風景があります。
ぜひ実際に足を運んで、北極圏ならではの魅力を体感してみてくださいね。
📝 次に読むなら:
行き方と宿が決まると、旅の準備が一気に進みます。



