【スヴァールバル諸島】炭鉱の歴史に触れる半日ツアー体験記|極地で“過去”にタイムスリップ

スヴァールバル諸島

かつて“炭鉱の町”として栄えた、スヴァールバル諸島のロングイェールビーン。

今でも町のあちこちに当時の採掘施設や建物が残されており、歩くだけでその歴史を感じられます。

そんなロングイェールビーンの過去に触れられるのが、人気の半日アクティビティ「炭鉱見学ツアー」です。

今回は、実際にこのツアーに参加してきたので、当日の流れや見どころを写真とともにレポート形式でご紹介します。

「炭鉱ってどんな場所?」「ツアーの雰囲気は?」と気になっている方にも、きっと参考になるはず。

スヴァールバル旅行を計画中の方は、ぜひ旅のヒントにしてみてくださいね。

こんな方に特におすすめ!
  • 歴史や遺跡に興味があり、現地の背景も深く知りたい
  • 雨や雪の日でも楽しめるアクティビティを探している
  • 極夜(真っ暗な冬)の時期に訪れる予定
  • 午後のフライト前に、効率よく観光したい

炭鉱ツアーの基本情報|Gruve 3ってどんな場所?

炭鉱道具

スヴァールバル諸島の中心地・ロングイェールビーンは、もともと“炭鉱の町”として誕生しました

その名の由来は、1906年にこの地で石炭の採掘を始めたアメリカ人実業家ジョン・マンロー・ロングイヤー(John Munro Longyear)。

彼が築いた炭鉱事業は後にノルウェー石炭会社へと引き継がれ、2025年まで「Gruve 7」では採掘が続けられていました。

そんなロングイェールビーンの歴史を肌で感じられるのが、人気の半日アクティビティ「炭鉱見学ツアー」です。

タイムカプセルのような鉱山「Gruve 3」とは?

ツアーで訪れるのは「Gruve 3」という炭鉱。ロングイェールビーンの町の近郊にあり、1996年に閉山されました。

最大の特徴はなんといっても、閉山当時の採掘機や設備がそのまま残されていること
まるで時間が止まったかのような空間が広がっており、“タイムカプセルのような鉱山”とも呼ばれています。

ツアーでは実際に坑道内に入り、炭鉱夫の装備に着替えて探検。荒々しい作業現場の空気や、過酷だった炭鉱労働者の暮らしをリアルに体感できます。

また、ここは世界的に有名な「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」の構想にも影響を与えた場所。歴史的にも貴重なスポットです。

ガイドは英語またはノルウェー語で、参加者の言語に応じて案内してくれます。

📍Gruve3の場所とアクセス

「Gruve 3」はロングイェールビーン中心部から車で約10分。
スヴァールバル空港の裏手に位置しています。

この地域はホッキョクグマの出没リスクがあるため、徒歩での立ち入りは制限されています。
ツアーでは専用車で安全にアクセスできるのでご安心を。


ツアーの開催日・所要時間・料金まとめ

📅 開催日程

  • 午前ツアー:9:00~12:00
  • 午後ツアー:13:00~16:00

クリスマスを除いて、基本的に毎日2回開催されています。
所要時間は約3時間で、フライト前後にも組み込みやすいのが魅力です。

ツアー料金(2025年)

  • 大人:NOK 1,150
  • ユース(12〜15歳):NOK 650
  • シニア(67歳以上):NOK 750
対象年齢は12歳以上

※最新情報・割引は各予約サイトにてご確認ください。

炭鉱ツアー体験記|当日の流れとリアルな雰囲気

私がこの炭鉱ツアーに参加したのは、10月上旬の日曜日、午前の部。
観光オフシーズン直前ということもあり、参加者はわずか7名という少人数での開催でした。

ガイドを含め、私以外は全員ノルウェー人。
中には英語があまり得意でない方もいたため、この日の案内はノルウェー語で行われました。

ただし、通常は英語での案内が基本なので、外国人観光客も安心して参加できます。

🕘 当日のスケジュール(午前の部)

時間内容
9:00滞在先ホテルでピックアップ
9:15Gruve 3 到着
9:20炭鉱施設の外で簡単な説明
9:30レクチャータイム(施設内)
10:15トイレ休憩&希望者は着替え
10:30坑道内見学スタート
12:00ツアー終了・送迎

集合~移動|Gruve 3までの道のり

炭鉱施設の外観

ツアーにはホテル送迎が含まれており、宿泊先にガイドが迎えに来てくれました。

この日は少人数だったため、ワゴン車での移動。人数が多い場合は、大型バスでの送迎になることもあります。

鉱山「Gruve 3」は、ロングイェールビーン中心部から車で約10分。

空港の裏手、山の中腹に位置しており、道中ではあの有名な「世界種子貯蔵庫(Svalbard Global Seed Vault)」の外観もちらっと見られます。

現地に到着したら、まずは鉱山施設の外でガイドによる簡単な説明。

炭鉱の入り口は見晴らしの良い場所にあり、フィヨルドや氷河を一望できる絶景スポットでもあります。
写真好きな方は、ここでカメラの準備を忘れずに!

Gruve 3からの眺め、フィヨルドと雪山

炭鉱の歴史を学ぶレクチャータイム

炭鉱施設内の休憩室

施設内に入ると、まず案内されるのが、かつて炭鉱夫たちが実際に使っていた休憩室。
当時のロッカーや掲示物がそのまま残されており、空間自体がまるで展示室のようです。

ここで約40分間、ロングイェールビーンの炭鉱の歴史や、労働環境についてのレクチャーが行われます。

レクチャー中には短い映像も流れるので、ガイドの言葉が多少分からなくても、内容の雰囲気は十分伝わります。

装備にチェンジして炭鉱夫気分に!

炭鉱夫の作業服

さあメインの坑道探検へ!……その前に、希望者はつなぎタイプの作業服に着替えることができます。

当時の炭鉱夫と同じ格好で臨場感もアップ!防寒や汚れ対策にもなるので、ぜひ着替えるのがおすすめです。

着替えない場合でも、ヘルメット・ヘッドライト・手袋は全員に貸し出されます。

✅ 貸し出しアイテム
  • つなぎ服(希望者のみ)
  • ヘルメット
  • ヘッドライト
  • グローブ
💡おすすめの服装
  • 暖かいアウター
  • ウール素材のセーターやインナー
  • 手袋・ネックウォーマー
  • 滑りにくい靴

坑道内の気温は外とほぼ同じなので、しっかり寒さ対策を!

いざ坑道内へ!臨場感たっぷりの炭鉱探検

坑道内部

着替えを終えたら、いよいよ坑道の奥へと探検スタート。

Gruve 3は1971年から1996年まで稼働していた炭鉱で、当時の設備や工具が今もそのまま残されています。

まずは、作業場に展示された機械類や工具類を見学。

炭鉱電車

鉄製支柱を実際に持ってみる体験もあり、炭鉱労働の過酷さを体感できます。

ツアーガイドと鉄柱

世界種子貯蔵庫の“原点”を訪ねて

炭鉱探検の終盤、ヘッドランプの明かりを頼りに進む坑道の奥に、現在の「世界種子貯蔵庫(Svalbard Global Seed Vault)」の原型となった場所があります。

1984年、北欧遺伝子バンクによって、山の自然な冷気で種子を100年間保存できるかという実験がここで行われました。
この研究が、のちのグローバル・シードバンク(世界種子貯蔵庫)建設の礎となったのです。

現在もこの坑道では、5年ごとに種子の状態をチェックするプロジェクトが継続されており、2084年までの長期実験が続けられる予定です。

なお、施設内部には立ち入れませんが、ツアーでは実際の入り口を間近で見学できます。
坑道内の静寂と暗闇、そして未来を見据えたプロジェクトの背景を肌で感じられる、印象的な時間でした。

オリジナル世界種子貯蔵庫の入り口

最後のチャレンジ!狭いトンネルで“炭鉱労働”を体験

ツアーの締めくくりは、炭鉱夫が実際に作業していた「わずか60〜90cmの石炭層」を再現したトンネル体験。
参加者はその狭さを実感しながら、実際に体をかがめ、這うようにして進みます。

暗くて冷たく、圧迫感のある空間を通り抜けることで、当時の労働環境の厳しさを、ほんの少しだけ体験できました。

狭いトンネルを這うツアー参加者

炭鉱ツアー終了|記念に石炭を持ち帰ろう

坑道を抜け、装備を返却したらツアーは終了。
希望者は、記念に坑道内の石炭を1つ持ち帰ることもできます。

お土産の石炭

帰りも行きと同じように送迎付き。
事前に伝えておけば、ホテルだけでなく空港での下車も対応可能です。
Gruve 3から空港まではわずか5分。小さな空港なので、フライト1時間前の到着でも十分間に合います。

ちなみに、街中のスーパーにはセルフチェックイン機もあるので、事前に手続きしておくとさらに安心です。

セルフチェックイン機では、チェックインはもちろん、搭乗券や荷物タグの印刷もでき、空港では荷物を預けるだけで済みます。

午前中で完結するツアーなので、午後発の便で帰る旅行者にとっても、時間を有効に使える理想的なアクティビティだと感じました!

ツアーの予約方法|ネット予約が便利&安心!

スヴァールバルの炭鉱ツアーは、事前にオンライン予約しておくのが安心&スムーズ。

現在は、次の2つの方法で予約できます。

  • 日本語で予約できるサイトを使う
  • 英語でも大丈夫な方は、公式観光サイトから

料金はどちらも同じなので、使いやすさやキャンセル条件の違いで選ぶのがおすすめです!

キャンセルに柔軟&日本語で簡単予約

「英語のサイトはちょっと不安…」という方にぴったりなのが、日本語対応の【GetYourGuide】。

ツアーの詳細や注意点まで日本語で読めるので、英語が苦手な方でも安心です。

GetYourGuideの特徴

  • 日本語での検索&予約が可能
  • 24時間前までキャンセル無料
  • 事前決済(クレジットカード対応)

旅行中の予定変更にも柔軟に対応できるため、「天候が心配」「予定が確定していない」など不安がある方にもおすすめです。

▶ GetYourGuideでツアーを予約する


予定が確定しているなら公式予約も◎

【Visit Svalbard】は、スヴァールバル諸島の公式観光局が運営する英語の予約サイトです。

Visit Svalbardの特徴

  • 数か月先までのスケジュールをチェック&予約可能
  • クレジットカードで事前決済
  • キャンセル規定あり
    (例:7日前以降は100%のキャンセル料)

予約完了=キャンセル料発生となるため、予定が確定している方向けです。

▶ Visit Svalbardでツアーを予約する

💡 補足|Gruve 3公式サイト=Visit Svalbard

「Gruve 3」の公式ホームページから予約しようとすると、実際には【Visit Svalbard】の予約ページにリダイレクトされます。
そのため、実質的な選択肢は「GetYourGuide」か「Visit Svalbard」の2つと考えてOKです。

まとめ|炭鉱ツアーでスヴァールバルの“過去”にふれる旅を

今回は、スヴァールバル諸島・ロングイェールビーンで体験できる「炭鉱見学ツアー」の様子や当日の流れをご紹介しました。

現地ツアーの多くがアウトドア中心で天候や季節の影響を受けやすい中、Gruve 3の炭鉱ツアーは、年間を通して安定して楽しめる貴重なアクティビティです。

特に、極夜の時期(真冬の暗い季節)や雨・雪の日でも催行されるのは、大きな魅力のひとつ。

所要時間も約3時間と短めなので、他のアクティビティと組み合わせたり、午後のフライト前の時間を有効活用したい人にもぴったりです。

ツアーを通して炭鉱の歴史に触れることで、ロングイェールビーンの町並みも、新たな視点で楽しめるようになるはず。

スヴァールバルを訪れる際は、ぜひ観光プランのひとつに加えてみてくださいね。

╲悪天候や極夜でも楽しめる!╱

ツアーの後は、かつて炭鉱で栄えた時代から残る建物をリノベーションした、雰囲気たっぷりのレストランでのお食事もおすすめです!